NO.94
書  名 本間宗久相場三昧伝
(−相場道の極意−)
著者/訳者 本間 宗久
発行所 投資レーダー
価  格 1,000円
 
 
 

「本間宗久相場三昧伝」からの抜粋


 


米商いは踏み出し大切のこと

 米商いは踏み出し大切なり。踏み出し悪しき時は決して手違いになるなり。又商い進み急ぐべからず、急ぐ時は踏み出し悪しきと同じ。売買共、今日より外、商い場なしと進み立ち候時、三日待つべし。是伝なり。米の通いを考え、天井底の位を考え売買すべし。是三位の伝なり。天井値段底値段出ざる内は幾月も見合わせ、図に当たる時を考え、売買すべし。商い急ぐべからずとは天井値段底値段を見ることなり。天井底を知る時、利運にして損なきの理なり。利運の米は強欲思わず…。



大騒ぎの折、火中へ飛び込む心持ちのこと

 米、段々上がるとき、諸国不時申し出し、大阪相場も加え、跡も引き上げ候沙汰、御蔵米など申し立て、なおなお上げ、人気も強く、我も買い気に付き候節、心を転じ売り方に付候事肝要なり。是すなわち、火中へ飛び込む思い切り、一統騒ぎ立つ節は、人々西に走らば、我は東に向かう時は極めて利運なり。…


高下は天性自然の理

 米の高下は天性自然の理にて高下するものなれば、極めて上がる下がると定め難きものなり。この道不案内の人は迂闊にこの商いすべからず。


買いおくれじ時

 米買うべしと見込み候時、二俵方も引き上がる時は、買いおくれじと心得、かえって売り方になることあり。はなはだ誤りなり。買いおくるる時は唯買い場を待つべし。


意地悪しきもの

 米上ぐべしと買い入れおき、最初の思い入れより、上げ越し十分仕当たる時、上げ詰め行き当たる時は意地悪しく高下するものなり。その節商い仕舞い、四〜五十日休むべし。右休みの内、見抜き候程の商い場有りとも決してせざるものなり。


利食い腰を強く

 底を見極め買い付け、余程の利分付き候節、相場、保ち合い候か、又少々引き下がることあり。その節利足勘定等致し、先達上げの節売り返さざるを思うことあり。はなはだ心得違いなり。底を買い出す時は落ち引きなき前に、決して売らざるものなり。底の買い引き上げ、落ちになる迄買い重ぬるものなり、心得べし。


不利運の節、心得のこと

 不利運の節、売り平均買い平均、決してせざるものなり。思い入れ違いの節は早速仕舞い、四〜五十日休むべし。


利運の節、心得方のこと

 商い利運仕当たる時、先ず大概に致し、取り留むるものなり。その節一両日休むべし。この休むことを忘るる時は、何程利運に向きても、商い仕舞いの節は決して損出べし。勝ちに誇り、百両の利は二百両取る気になり、千両二千両の気移り、欲に迷うて見切りかね、損出るなり。これ欲より出で迷うなり。不利運の時はなおもっての事なり。その時の見切り大切のことなり。慎み心得べし。


勝ちに乗るべからざること

 数月思い入れよく、八九分通り仕当たり候節、必ず勝ちに乗るべからず。唯無難に取り留むることを専らにすべし。必ず必ず、欲を深くし迷うべからず。


底狙い、天井狙いのこと

 底狙い、天井狙い、売買すること。専ら心掛くべし。


十人が十人片寄る時

 相場、二三ヵ月も高下なく、又通いにておる時は、十人が十人退屈し、強気の人も弱気に赴き、売り方の人は図に当たると心得え、なおなお売り込み、その後決して上がるものなり。その節さてこそと弱気強気とも一つに成り、一度に騒ぎ立て買い返す故、俵飛ばし急上げになるなり。十人が十人片寄る時は決してその裏来るものなり。考えの通りに来るものなれば心易きものなれども、右様には来たらず、考えに及ばざるなり。陰陽自然の道理なり。


天底三年

 天井値段、底値段、三ヵ年続くものとあり。このこと天井値段計りと思うべからず。底値段も三年続くなり。常の年にも有るなれば、能く能く気を付くべし。


心定まらず動く

 米上ぐべしと思えども、もし此の間にひと下げ出ることも心もとなく見合わせ候節、少々上がる時はさてこそと思い、下がればさてこそ下げなりと思う。是一体心定まらず動くなり。


相場にさからうこと禁物

 弱気にて売り方に向く時、了見違い、少々ずつ不利運になることあり。その節売り平均せんと上げかかる米を段々売り込むことあり、はなはだ心得違いなり。相場にさからい宜しからず、慎むべし。買い方の節も同じ心持ちなり。思い入れ違いは早仕舞い、行き付きを見るべし。


後悔に二つあり

 後悔に二つあり、是を心得べし。高下の節、今五六日待つ時は、十分取るべき利を、勝を急ぎ二三分取り逃がし候後悔、是は笑うて仕舞う後悔なり。又、七八分利運の米、欲に迷い仕舞いかね候内引き下げ損出る後悔、是苦労致し候上の後悔なり。慎み心得べきことなり。


通い運びは秘伝なり

 極意は毎日の相場に気を付け、米の通いを以って売買すべきなり。右の通い運びと申すは秘伝なり。この見様、黒白の違いあり。一毛違うて千里をする心、第一なり。


すべてが片寄ったとき

 米の弱く、人気も揃い、我思い入れも弱き節、その後、是非上がるものなり。人々の気も強く、上がると志し候米は、決して下がるなり。兎角、百俵上げの米は下がること計りと考うべし。タワヒもなく弱き米は、上がること計りと考えべ申すべきこと肝要なり。


天井買わず、底売らず

 天井を買わず、底を売らず。但し、第一の心得なり。上がる時も下がる時も、天井底を知らざる故、此の上、何程上がる下がると上げ留まり下げ留まりの考えもなく、買い募り売り募る故、つまり損するなり。上げ過す時は、その後決して下がると心得べし。下がる時は、決して上がると心得べし。此の時、欲を離れ思い入れを立つべし。


相場に感情禁物

 腹立ち売り、腹立ち買い、決してすべからず、大いに慎むべし。


天底三年周期

 天井値段、底値段、三ヵ年続き、それより変ずるものなり、疑いなし。


もうはまだなり

 もうはまだなり。まだはもうなり、ということあり。但し、数日もはや時分と思い取りかかるに、見計らい悪しければ間違いになるなり。まだまだと見合わせおる内に遅るることあり。

 

 
 
 
鉄 太 郎 の ナ ル ホ ド と 納 得
 

 

  「本間宗久相場三昧伝」は、江戸時代の米相場の極意を説いたものであるが、現代の株式相場に当てはめても、なんら遜色のないものである。

□一統騒ぎ立つ節は、人々西に走らば、我は東に向かう時は極めて利運なり。…
  (大衆が一致して同じ方向に走り出した時は、逆に向かうべき)

□米の高下は天性自然の理にて高下するものなれば、極めて上がる下がると定め難き
  ものなり。
  (相場の上げ下げは、当てようとして当たるものではない)

□不利運の節、売り平均買い平均、決してせざるものなり。思い入れ違いの節は早速
  仕舞い、四〜五十日休むべし。
  (相場の流れに逆らっていると分かったときは、買い乗せ、売り乗せをしないで、すぐに
   手仕舞って、休むべきである)